個人事業主の営業方法。何から始めるかを整理する

個人事業主の営業方法。何から始めるかを整理する

「営業を始めたいけれど、何をすればいいのか分からない」。個人事業主・フリーランスとして独立すると、ほとんどの人がこの壁にぶつかります。会社員時代は営業部や上司が新規開拓を担ってくれていた。けれど独立した今は、仕事を取りに行く役割も自分一人で背負わなければなりません。

この記事では、「営業のやり方が分からない」という方に向けて、個人事業主が取り得る主な営業手段を一通り整理し、それぞれの特徴と向き不向きを見ていきます。そのうえで、何から手をつければいいのか、どう続ければいいのかという「始め方」の道筋を示します。難しいテクニックの話ではなく、最初の一歩を踏み出すための地図として読んでください。

目次

個人事業主が取り得る主な営業手段

ひとくちに「営業」と言っても、手段はいくつもあります。まずは代表的なものを並べ、それぞれがどんな方法で、誰に向いているのかを整理しましょう。

紹介・既存人脈からの営業

過去の取引先、知人、同業者などから仕事を紹介してもらう方法です。すでに信頼関係がある相手からの紹介なので、成約しやすく、最初の仕事につながりやすいのが特徴です。

ただし、紹介は相手まかせになりやすく、自分の意思でコントロールしづらいのが弱点です。人脈が一巡すると頭打ちになり、それ以上は広がりません。独立直後の立ち上がりには有効ですが、紹介だけに頼り続けると、いずれ新規開拓の必要に迫られます。

問い合わせフォーム営業

ターゲットとなる企業の公式サイトにある問い合わせフォームから、自分のサービスを案内するメッセージを送る方法です。相手のメールアドレスを持っていなくても、サイトさえあれば接点を作れます。

文章ベースで、自分のペースで進められるため、対面が苦手な人にも取り組みやすい手段です。BtoB(事業者向け)のサービスを提供している個人事業主と相性が良く、新規開拓の主軸に据えやすい方法と言えます。基本的な進め方は「問い合わせフォーム営業とは?基本とやり方をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

SNSのダイレクトメッセージ(DM)

見込み客にSNS経由でメッセージを送る方法です。相手の発信内容を見て、関心や課題を把握したうえでアプローチできるのが利点です。

一方で、SNSの種類によっては営業DMが歓迎されにくく、関係構築の前にいきなり送ると敬遠されることもあります。日頃から発信や交流で接点を作ったうえで送るなど、丁寧さが求められる手段です。

交流会・イベントへの参加

異業種交流会、勉強会、業界イベントなどに参加し、対面で名刺交換や会話を通じて関係を作る方法です。直接顔を合わせるぶん、信頼を築きやすいのが特徴です。

ただし、人と話すのが得意な人に向いた手段で、対面が苦手な人には負担が大きくなります。また、参加には時間も移動コストもかかります。瞬発的な会話力が求められる場面でもあり、向き不向きがはっきり分かれる方法です。

自分のメディアでの発信

ブログ、SNS、メルマガ、YouTubeなどで情報を発信し、興味を持った人から問い合わせをもらう方法です。いわゆる「来てもらう」営業で、相手から連絡が来るため、押し売り感がありません。

ただし、成果が出るまでに時間がかかります。発信を積み重ねて認知が広がるまで、数か月から年単位の継続が必要になることも珍しくありません。長期的な資産にはなりますが、「今月仕事がほしい」という短期のニーズには応えにくい手段です。

非対面・文章ベースが個人事業主に向きやすい理由

これらの手段を見比べると、個人事業主・フリーランスにとって始めやすいのは、フォーム営業やDMのような「非対面・文章ベース」の営業です。理由は3つあります。

ひとつめは、自分のペースで進められること。文章なら、何度でも書き直せます。対面営業のように「沈黙が怖い」「うまく切り返せない」というプレッシャーがありません。

ふたつめは、自分から能動的に動けること。紹介や発信が「待ち」の営業だとすれば、フォーム営業やDMは「攻め」の営業です。仕事がほしいタイミングで、自分の意思で件数を調整できます。

みっつめは、始めるコストが低いこと。交流会のように会場へ足を運ぶ必要も、メディア運用のように長期間の継続も要りません。リストと文面さえ用意すれば、その日から始められます。

営業が苦手で何から始めればいいか迷っている方は、まずこの非対面・文章ベースの営業から入るのがおすすめです。営業への苦手意識そのものについては「営業が苦手な個人事業主・フリーランスへ。まず知っておきたいこと」もあわせてご覧ください。

何から始めるか。小さく始める優先順位

手段が分かっても、全部を同時に始める必要はありません。むしろ、あれもこれもと手を広げると、どれも中途半端になって続きません。小さく始めるための優先順位を考えましょう。

1. すでにある人脈に声をかける:まずは紹介や既存の取引先など、コストもリスクも低いところから。すぐに成果につながる可能性があります。

2. 自分から動ける営業手段を一つ選ぶ:人脈が一巡したら、フォーム営業やDMなど、能動的に動ける手段を一つに絞って始めます。複数を同時に始めず、まず一つを回せるようにします。

3. 継続的な発信を少しずつ仕込む:時間のかかるメディア発信は、すぐの成果を期待せず、長期の資産づくりとして並行して少しずつ積み上げます。

ポイントは、短期で成果が出る手段と、長期で効いてくる手段を分けて考えることです。今月の仕事は人脈やフォーム営業で取りに行き、半年後・一年後のために発信を仕込む。この二段構えで考えると、手のつけどころが見えてきます。

営業を「リスト→文面→送信→管理」に分解する

自分から動く営業を一つ選んだら、その作業を分解してみましょう。「営業をする」とひとくくりにすると重く感じますが、4つの作業に分けると、それぞれは取り組みやすい小さなタスクになります。

  • リスト:自分のサービスを必要としていそうな相手を集める準備作業。業種・地域・規模などで絞り込みます。リストの作り方は「営業リストの作り方とターゲット選定の考え方」で詳しく解説しています。
  • 文面:最初に送る営業文を用意する作業。自分の実績を並べるのではなく、「相手にとってどんなメリットがあるか」を中心に書きます。
  • 送信:用意したリストと文面で、1件ずつ送る作業。フォーム営業の場合、問い合わせフォームは企業ごとに項目や形式が異なるため、1件ずつ仕様を確認しながら送ると確実です。
  • 管理:返信や問い合わせに対応し、やりとりを記録する作業。すぐに成約しなくても、「興味はあるが今は時期ではない」相手は将来の見込み客です。

この4つに分けて考えると、「何から手をつければいいか分からない」状態から抜け出せます。まずは「リスト」と「文面」という、相手と直接やりとりしない準備作業から落ち着いて進めるのがおすすめです。準備が整っていれば、送信のハードルはぐっと下がります。

続ける仕組みにする

営業で最も難しいのは、始めることではなく続けることです。一度まとめて送っても、そこで止まってしまえば成果は続きません。

続けるコツは、気合いに頼らず仕組みにすることです。たとえば「毎週月曜の朝は営業の時間」とカレンダーに固定する。1回の作業量を「リスト10件分」など小さく区切る。こうして営業を生活のルーティンに組み込むと、「やる気が出たらやる」状態から抜け出せます。仕組み化の具体的な方法は「営業を後回しにしないための仕組みづくり」で詳しく解説しています。

手が回らないときは一部を外注するという選択肢

それでも、本業が忙しくて営業に時間を割けない時期は必ず来ます。そのときは、営業の一部を外部に任せるという選択肢があります。

たとえば、最も手間のかかるリスト作成や初回の送信だけを外注すれば、本業に集中しながら営業の流れを止めずに済みます。「全部自分でやる」か「全部やめる」かの二択ではなく、その中間があることを覚えておいてください。負担の大きい一部分だけを手放すことも、立派な仕組み化です。

なお、限られた時間を最大化する効率化の考え方は「個人事業主の営業効率化|限られた時間を最大化する考え方」で詳しく解説しています。

なお、紹介依存から新規開拓へ踏み出す考え方は「紹介だけで仕事を回すリスクと、新規開拓の始め方|フリーランス・個人事業主向け」、SNS DM営業の進め方は「SNS DM営業のやり方とマナー|X・Instagramで嫌われずに新規開拓する」、制作系フリーランス向けの営業術は「営業が苦手なエンジニア・デザイナーへ|制作スキルを仕事につなげる営業術」も参考になります。

まとめ

この記事のポイントを振り返ります。

  • 個人事業主の主な営業手段は「紹介・人脈/フォーム営業/SNS DM/交流会・イベント/メディア発信」。それぞれに向き不向きがある。
  • 自分のペースで進められ、能動的に動け、始めるコストが低い「非対面・文章ベース」の営業は、個人事業主に向きやすい。
  • 何から始めるかは、短期で成果が出る手段(人脈・フォーム営業)と長期で効く手段(発信)を分けて、小さく始める。
  • 営業は「リスト・文面・送信・管理」に分解すると一歩を踏み出しやすい。まずは準備作業から。
  • 続けるコツは気合いではなく仕組み化。手が回らなければ一部を外注する選択肢もある。

営業のやり方は一つではありません。自分に合った手段を一つ選び、小さく始めて、続けられる形に整えていく。まずはその第一歩を踏み出してみてください。

営業の最初の一歩を、外注するという選択肢

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BBBメッセージサービス

執筆者:栗原 陽介(TYNコンサルティングオフィス 代表)

BBBメッセージサービス(営業リスト作成・初回営業メッセージ送信代行)の運営者。個人事業主・フリーランスの営業支援に携わっています。運営者について詳しくは 会社案内 をご覧ください。

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