「営業をしよう」と思ったとき、最初につまずきやすいのが「で、誰に営業すればいいのか」という問題です。提供できるサービスはある。やる気もある。けれど、アプローチする相手のリストがない──。
この記事では、営業リストの作り方と、その前提となるターゲット選定の考え方を、個人事業主・フリーランス向けにわかりやすく解説します。営業の成果は、実は「送る前」の準備で半分が決まります。
営業の成果は「リスト」で半分決まる
営業というと、「どう話すか」「どう書くか」というコミュニケーションの部分に注目が集まりがちです。もちろんそれも大切ですが、それ以上に成果を左右するのが「誰に送るか」、つまりリストです。
どんなに優れた営業文を書いても、その内容を必要としない相手に送れば、反応はありません。逆に、本当にそのサービスを必要としている相手に届けば、多少文面が不器用でも話は前に進みます。
「良い文面 × ずれた相手」よりも、「普通の文面 × 合った相手」のほうが成果が出る。これが営業の現実です。だからこそ、リスト作りは営業活動の中で最も力を入れるべき準備のひとつなのです。
営業リストとは何か、何のために作るのか
営業リストとは、アプローチする見込み客(企業や個人)の情報をまとめた一覧のことです。
リストに含める情報は、営業手法によって変わりますが、フォーム営業やメール営業であれば、おおむね次のような項目です。
- 企業名・屋号
- 公式サイトのURL
- 問い合わせフォームのURL(フォーム営業の場合)
- 業種・事業内容
- 所在地
- 規模の目安(あれば)
- 想定される課題やニーズのメモ
リストを作る目的は、単に連絡先を集めることではありません。本当の目的は、「自社のサービスを必要としていそうな相手」を見える形にして、効率よく・抜け漏れなくアプローチできるようにすることです。
リストがあれば、「今日はどこに送ろう」と毎回考える必要がなくなり、営業作業がルーティン化できます。また、誰に送ったかを記録できるので、同じ相手への重複送信や、フォローのタイミングの管理もしやすくなります。
ターゲット選定の考え方
リストを作る前に、必ず決めておきたいのが「ターゲット」です。ターゲット選定とは、「自社のサービスを、どんな相手に届けるか」を具体的に決める作業です。
なぜターゲットを絞るのか
「対象を絞ったら、チャンスが減るのでは」と感じるかもしれません。しかし実際は逆です。
ターゲットを絞らずに「誰にでも役立ちます」と営業すると、メッセージがぼやけて、結局誰の心にも刺さりません。一方、「こういう課題を抱えた、この業種の人へ」と具体的に絞ると、その相手にとっては「自分のことだ」と感じられる訴求ができます。
限られた時間とエネルギーで成果を出すには、当たる可能性の高い相手に集中するほうが合理的です。
ターゲットを決める3つの視点
ターゲットを考えるときは、次の3つの視点で整理すると決めやすくなります。
視点1:どんな課題を持っているか
自社のサービスは、どんな「困りごと」を解決できるのかを言葉にします。たとえばWeb制作なら「サイトが古くて問い合わせが来ない」、SNS運用代行なら「投稿する時間がない」など。その困りごとを抱えていそうな相手が、ターゲットの起点になります。
視点2:どんな業種・属性か
課題が明確になったら、その課題を持ちやすい業種や事業形態を考えます。地域・企業規模・創業からの年数なども、絞り込みの条件になります。
視点3:自社が価値を出しやすいか
過去に成果を出せた相手、自分が事情を理解している業界は、価値を出しやすく、提案にも説得力が生まれます。「やったことがある領域」は有力なターゲット候補です。
この3つの視点で、「課題」「業種・属性」「自社の強み」が重なる部分が、最も有望なターゲット像です。
営業リストの作り方
ターゲット像が決まったら、その条件に合う企業を集めてリストにしていきます。代表的な集め方を紹介します。
方法1:インターネットで検索して集める
最も手軽なのが、検索エンジンや業種別のポータルサイト、地域の事業者一覧などを使って、条件に合う企業を1社ずつ調べてリストにする方法です。コストはかかりませんが、相応の時間と手間がかかります。
集める際は、企業の公式サイトを実際に見て、本当にターゲット条件に合っているか、問い合わせフォームがあるか、営業を断っていないかを確認しながら進めます。
方法2:名刺交換や既存のつながりから
交流会やイベントで交換した名刺、過去に問い合わせがあったが成約しなかった相手なども、立派なリストの素材です。一度接点のある相手は、まったくの新規よりも反応が得やすい傾向があります。
方法3:企業情報データベースを使う
世の中には、企業情報をまとめたデータベースサービスもあります。条件で絞り込んで一括で情報を取得できる反面、有料のものが多く、個人事業主にとっては費用面のハードルがあります。
リスト作成で大切なこと
どの方法で集めるにしても、共通して大切なのは「条件に合う相手かを確認しながら作る」ことです。数を集めることだけを目的にすると、ターゲットからずれた相手が混ざり、リスト全体の精度が下がります。リストは「多ければ良い」ものではありません。
リスト作成でよくある失敗
リスト作りでつまずきやすいポイントを、あらかじめ知っておきましょう。
失敗1:量を追いすぎる
「とにかく数を集めれば当たる」と考えて、条件に合わない相手まで入れてしまうケース。母数は増えても、反応率が下がり、結局成果につながりません。
失敗2:ターゲットを決めずに集め始める
ターゲット像が曖昧なままリストを作ると、「なんとなく良さそう」な企業の寄せ集めになります。後から見返したとき、なぜその相手を選んだのか説明できないリストは、精度が低くなりがちです。
失敗3:情報が古いまま使う
企業情報は変わります。サイトが閉鎖されていたり、フォームがなくなっていたりすると、その分の作業が無駄になります。
失敗4:作って満足してしまう
リストを作ること自体が目的化し、実際の送信に進めないケース。リストは使ってこそ意味があります。
リストの管理と更新
リストは一度作って終わりではありません。使いながら育てていくものです。
送信した相手には「送信済み」の印をつけ、反応があった相手は別途記録します。反応がなかった相手も、しばらく時間を置いて再度アプローチする候補として残しておけます。
また、企業情報は時間とともに古くなります。半年〜1年に一度はリストを見直し、閉鎖した企業を整理したり、新しい候補を追加したりするとよいでしょう。
リストの「質」、つまり情報の鮮度や精度については、別記事「営業リストの質とは何か」でさらに詳しく解説しています。
自分で作るのが難しいときの選択肢
ここまで読んで、「リスト作りの重要性は分かったけれど、そんな時間はない」と感じた方もいるかもしれません。
実際、ターゲット条件に合う企業を1社ずつ調べてリストにする作業は、地味で時間のかかる作業です。本業を抱える個人事業主にとって、これが営業のボトルネックになることは少なくありません。
そんなときの選択肢のひとつが、リスト作成を外部に任せることです。営業活動のうち「リスト作成」だけを外注すれば、できあがったリストをもとに、送信や商談という本来注力したい部分に集中できます。
営業をすべて自分でやる必要はありません。最も時間のかかる準備作業を任せることで、営業全体が回りやすくなることもあります。
なお、無料で自分の手でリストを作る具体的な手順は「営業リストを自分で作る方法|個人事業主が無料で始める手順」、作ったリストの管理・運用は「フリーランスのリスト管理|Excelで始める営業リスト運用」で詳しく解説しています。
まとめ
この記事のポイントを振り返ります。
- 営業の成果は「誰に送るか」、つまりリストで半分が決まる。
- リスト作りの前に、ターゲット(誰に届けるか)を具体的に決めることが重要。
- ターゲットは「課題」「業種・属性」「自社の強み」の3視点で考える。
- リストは検索・既存のつながり・データベースなどで集められるが、条件に合うかを確認しながら作る。
- 量を追いすぎる・ターゲットを決めずに集める、といった失敗に注意。
- リストは作って終わりではなく、管理・更新して育てる。
- 自分で作るのが難しければ、リスト作成だけを外注する選択肢もある。
良いリストは、営業全体の土台です。まずは自社のターゲット像を言葉にするところから始めてみてください。
営業の最初の一歩を、外注するという選択肢
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執筆者:栗原 陽介(TYNコンサルティングオフィス 代表)
BBBメッセージサービス(営業リスト作成・初回営業メッセージ送信代行)の運営者。個人事業主・フリーランスの営業支援に携わっています。運営者について詳しくは 会社案内 をご覧ください。
